ニセモノじゃないのか?と夫が言った日のこと

「遺骨からダイヤモンドなんて、セモノじゃないのか?」

夫がそう言った瞬間、

私は思わず味噌汁の椀を置いた。

(セモノって昭和の商店街の言い方)

でも、夫が悪気なく言っているのは分かっている。

ただ、遺骨ダイヤモンドのことをまだ知らないだけなのだ。

私は深呼吸して、ゆっくり言った。

「ねぇ、遺骨ダイヤモンドってね、ニセモノじゃないんだよ」

夫は眉をひそめた。

「本当に?」

遺骨ダイヤモンドはもうひとつの本物

「遺骨ダイヤモンドはね、お母さんの遺骨に残った炭素から作る合成ダイヤモンドなの」

「合成ってガラス玉みたいなやつじゃないのか?」

夫の誤解スイッチが入った。

「違うの。

硬さも輝きも成分も、天然ダイヤモンドと全く同じなんだよ」

夫は目を丸くした。

「同じ?」

「そう。

天然ダイヤモンドは地球の奥で何百万年もかけてできるけど、

遺骨ダイヤモンドはラボで同じ環境を再現して作るの」

夫は腕を組んだ。

「じゃあ本物ってことか」

「そうだよ。

しかもお母さんとの思い出という価値は、天然ダイヤには絶対に真似できないの」

色に込められた想い

「遺骨ダイヤモンドって色も選べるんだよ」

「色?」

「オレンジは遺骨に自然に残る窒素の色。

青は海が好きだった人に選ばれることが多いの」

夫は少し黙った。

「お母さん、海好きだったな」

「でしょ?

色にも想いを込められるんだよ」

夫の表情が少し柔らかくなった。

遺骨ダイヤモンドはニセモノではない

私は夫に向かって、静かに言った。

「遺骨ダイヤモンドはニセモノじゃないよ。

天然と同じ本物のダイヤモンド。

そこにお母さんとの思い出が加わるんだよ」

夫はゆっくりうなずいた。

「お前が大切にしたい気持ち、分かったよ」

その言葉に、私は胸がじんわり温かくなった。

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