なくしたらどうするんだ問題と私の答え
「遺骨ダイヤモンドをなくしたらどうするんだ?」
夕飯後、夫が急にそんなことを言い出した。
私は箸を置き、思わず固まった。
(よりによって今その話?)
「なくしたらって、そんな縁起でもないこと言わないでよ」
「いや、心配なんだよ。大事なものだろ?」
夫の心配性スイッチがまた入った。
このスイッチ、どこにあるのか本当に知りたい。
でも私は深呼吸して、ゆっくり言った。
「怖いよ。でもね、それでも私はお母さんと一緒にいたいんだよ」
夫は黙って私の顔を見つめた。
なくすということは一緒にいた証
「もし万が一なくしたら」
私は少し笑って言った。
「それは、お母さんとたくさん出かけた証だよ」
夫は驚いた顔をした。
「証?」
「そう。
お母さんがもうあなたは一人でも大丈夫よって、
そっと離れていったのかもしれない」
夫はゆっくりうなずいた。
「そう考えると、少し気が楽になるな」
もしものときは、まず落ち着いて探す
「でもさ、本当に失くしたらどうするんだ?」
夫の現実的スイッチが入った。
「まずは落ち着いて探すの。
家の中なら、ベッドの隙間とか洗濯機の中とか、
排水口の奥とか意外と変なところにあるんだよ」
「排水口?」
「そう。あと車のシートの隙間とかね」
夫はなぜか自分のポケットを確認していた。
(今は何もなくしてないよ)
それでも見つからなかったら、窓口に相談
「それでも見つからなかったら?」
「依頼した窓口に相談するの。
遺骨から抽出した炭素が残っていれば、
もう一度作ってもらえる可能性があるんだよ」
夫は目を丸くした。
「え、そんなことできるのか」
「できるよ。
だからなくしたら終わりじゃないんだよ」
遺骨ダイヤモンドをなくしても心配しなくていい理由
私は夫に向かって、ゆっくり言った。
「遺骨ダイヤモンドをなくすのは怖いよ。
でもね、それはお母さんと一緒にいた証でもあるの」
夫は静かにうなずいた。
「そうか。
お母さんをなくすのが怖かったんだよな」
その言葉に、私は胸がじんわり温かくなった。



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