そんな高価なもの何がいいんだ?と夫が言った日のこと

「お母さんの遺骨をダイヤモンドにしたいんだ」

私がそう言うと、夫はまたしても眉をひそめた。

「そんな高価なもの何がいいんだ?」

出た、夫の出費センサー。

このセンサー、雨雲レーダーより正確に反応する。

私は深呼吸して、ゆっくり言った。

「じゃあ、あなたにも分かるロマンチックな話をしようか」

夫は怪訝な顔をした。

「ロマンチック?」

(夫の警戒スイッチが入った)

二人の髪の毛で作る世界で一つの婚約指輪

「もしね、観覧車の中でプロポーズされたとして」

「観覧車?」

「パカッと開けたジュエリーボックスの中に、

キラキラのダイヤモンドが入ってるの」

夫はうなずいた。

「まあ、よくあるやつだな」

「でもそのダイヤモンドが

二人の髪の毛から作られたものだったら?」

夫は固まった。

「え?」

私は笑った。

「ドン引きすると思うでしょ?

でもね、ちゃんと準備すれば、

世界で一つのプロポーズになるんだよ」

前準備が大切

「まずは普段からメモリアルダイヤモンドの話をしておくの」

夫はうなずいた。

「布石ってやつか」

「そう。

それから、もし作るならどんなデザインがいい?って聞いてみる」

「なるほど自然に誘導するわけだな」

(夫の理解スイッチが入った)

サプライズのために髪の毛を集める

「サプライズにしたいなら、髪の毛をこっそり集めるの」

夫は驚いた顔をした。

「こっそり?」

「もちろん、後から実は二人の髪の毛で作ったんだよって言えばいいの」

夫は苦笑いした。

「お前なら本当にやりそうだな」

費用は高い。でも唯一無二の価値がある

「普通の婚約指輪のダイヤは25万円くらいからあるけどね」

「うん」

「メモリアルダイヤモンドはその3倍くらいするの」

夫は目を丸くした。

「高っ!」

「でもね、普通のダイヤはいつでも買える。

でも二人の髪の毛から作ったダイヤは世界に一つだけなんだよ」

夫はしばらく黙っていた。

髪の毛だけじゃなく、思い出の品でも作れる

「髪の毛だけじゃなくてね」

-二人で書いた手紙

-思い出の品

-炭素を含むもの

「こういうものからも作れるんだよ」

夫は少し笑った。

「なんか、いいな」

夫へ──お母さんの遺骨ダイヤモンドも、同じ特別な価値なんだよ

私は夫に向かって、静かに言った。

「二人の髪の毛で作るダイヤが世界で一つなのと同じでね」

「うん」

「お母さんの遺骨から作るダイヤも世界で一つなんだよ。

値段じゃなくて、そこに込めた想いが大事なんだよ」

夫はゆっくりうなずいた。

「そういうことなら、分かる気がする」

その言葉に、私は胸がじんわり温かくなった。

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