母の遺骨でダイヤモンドを作りたいと言った日のこと
母が亡くなったあの日。
私は静かに決めた。
「メモリアルダイヤモンドを作ろう」
夫は驚いた顔をした。
「本当にそんなことできるのか?」
私はうなずいた。
「できるよ。科学の力でね」
夫は眉をひそめた。
「科学?」
(夫の理系スイッチが入った)
私は深呼吸して、ゆっくり話し始めた。
メモリアルダイヤモンドとは?
「メモリアルダイヤモンドはね、
遺骨や遺灰、遺髪、思い出の品から炭素を取り出して作るんだよ」
-天然ダイヤと同じ炭素でできている
-地下150kmの環境を人工的に再現
-2004年にアメリカで初めて遺骨から作られた
夫は目を丸くした。
「地下150kmってどれくらいだ?」
「大山の100倍くらいの深さだよ」
夫は想像して震えていた。
天然ダイヤが生まれる場所=地下150km
「天然ダイヤはね、地下150kmの高温高圧で何百万年もかけてできるの」
-大山(1,709m)の約100倍
-東京駅から水平に150km=静岡県の富士駅あたり
夫はぽつりと言った。
「そんな深いところで」
「そう。
でもメモリアルダイヤモンドは、その環境をラボで再現するんだよ」
人工ダイヤモンドの条件:高温・高圧
「ダイヤを作るにはね」
-約1,600℃
-約10万気圧(=水深1,000km相当)
「この環境を作るためにキュービックプレスって装置を使うの」
夫は感心したようにうなずいた。
「すごい技術だな」
本当に難しいのは炭素を取り出すこと
「実はね、ダイヤを作るより炭素を取り出すほうが難しいの」
昔の人工ダイヤは
-濁っていた
-ひび割れが多かった
-品質が安定しなかった
「でも今は技術が進んで、天然と同じ品質のダイヤが作れるんだよ」
夫は静かにうなずいた。
合成ダイヤモンドの歴史
「人工ダイヤの歴史は長いんだよ」
-1879年:生成方法が発見
-1950年代:GEが製造に成功
-1980年代:天然以上の品質が誕生
-2004年:遺骨から初めて作られる
「今では装飾品としても通用する品質なんだよ」
夫は驚いた顔をした。
窓口選びは人を見る
「日本には6社以上の窓口があるよ」
-資料請求
-電話やメールでの対応
-日本語の自然さ
-親身さ
「対応が悪かったら、無理に続けなくていいの」
夫はうなずいた。
「お母さんのことだから、ちゃんとしたところに頼みたいな」
夫へ──母を偲ぶために選んだダイヤモンド
私は夫に向かって、静かに言った。
「天然ダイヤは地下150kmで生まれる。
メモリアルダイヤモンドは、その環境を再現して母の炭素から作られる」
「科学で生まれた宝石だけど、
私にとっては母そのものなんだよ」
夫はしばらく黙っていたが、
やがて優しく言った。
「お前がそう思えるなら、それが一番だな」
その言葉に、私は胸がじんわり温かくなった。



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