ブルーが人気らしいよと夫が言った日のこと
「メモリアルダイヤモンドって、ブルーが人気らしいぞ」
夫がスマホを見ながらそう言った。
私は思わず笑ってしまった。
「私はオレンジにするよ」
夫は驚いた顔をした。
「え、ブルーじゃないのか?」
「うん。迷わずオレンジ」
夫は首をかしげた。
「なんでまた?」
私はゆっくり答えた。
「だって一番自然で、一番温かい色なんだよ」
オレンジ0.1ctは一番人気
「実はね、オレンジ0.1ctって一番人気なんだよ」
「ブルーじゃないのか?」
「ブルーも人気だけど、
オレンジ0.1ctは加工したときにお得っていう理由もあるの」
夫は目を丸くした。
「お得?」
「そう。
ミニダイヤペアよりも、リングやペンダントにしたときの見栄えと価格のバランスがいいの」
夫のお得スイッチが入った。
オレンジは何も加えない自然な色
「オレンジってね、遺骨に自然に残る窒素の色なの」
「自然?」
「そう。
余計な添加物を入れずに、
炭素と窒素だけで生まれる素のままの色なんだよ」
夫は少し黙った。
「……お母さん、自然体な人だったよな」
「だから私はオレンジにしたの」
ファンシーオレンジの魅力
「オレンジはね、生成過程も自然に近いの」
-添加物なし
-比較的短時間で結晶化
-余計な手間がかからない
「天然ダイヤだと褐色が多いけど、
人工ダイヤではオレンジが温かい色として人気なんだよ」
夫はうなずいた。
「確かに、優しい色だな」
0.1ctは普段使いにちょうどいい
「サイズは0.1ctにしたの?」
「うん。直径3mmで、普段使いにちょうどいいの」
「大きすぎず、小さすぎずってやつか」
「そう。
リングにもペンダントにも加工しやすいし、
毎日つけても違和感がないの」
夫は少し笑った。
「お前、毎日つける気だな」
「もちろん」
遺骨が足りないときも大丈夫
「遺骨ってどれくらい必要なんだ?」
「60gくらい。マグカップ1杯分くらいだよ」
「足りなかったら?」
「遺髪や爪、思い出の品から炭素を取れるよ」
夫は安心したように息をついた。
「それなら心配ないな」
骨壺ごと送る人もいる
「全部ダイヤにしたいって人もいるんだよ」
「全部?」
「うん。骨壺ごと送るの。
余った炭素はラボで保管してくれることもあるから、
紛失や破損のときに対応できるの」
夫は驚いた顔をした。
「そんなことまでできるのか」
形見からもダイヤモンドは作れる
「帽子とか服とか日記からも作れるんだよ」
「日記から?」
「紙って炭素が多いからね。
その人らしさが宿るものから作るダイヤも素敵なんだよ」
夫はしみじみとうなずいた。
私がオレンジを選んだ理由
私は夫に向かって、静かに言った。
「ブルーも素敵だけどね、
私は自然で温かいオレンジに心を込めたの」
夫は優しく笑った。
「お前らしいな」
その言葉に、私は胸がじんわり温かくなった。



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