遺骨ダイヤモンドに疑問を持つ夫に動画を見せたらブルーがいい!と半分譲歩してきた
遺骨ダイヤモンドに疑問を持つ夫
動画
百聞は一見にしかず。ここは言葉で説明するより、映像で見せるのが一番の特効薬です。私はおもむろにノートパソコンを開き、海外のラボや製造工程の動画を彼の前に差し出しました。
ガチ動画
「あれ。これ、思ってたより、めちゃくちゃガチなやつだ」
そう、ガチなのです。夫の疑念を晴らすために、動画の背景にある「ダイヤモンドの真実」を解説していきましょう。
遺骨ダイヤモンドの正体は「合成ダイヤモンド」
- |天然ダイヤモンド:地球内部で数百万年かけて高温・高圧にさらされた炭素が、地殻変動で一気に地表に押し上げられ、採掘されたもの。
- |合成ダイヤモンド|:圧力発生装置を使い、地下150kmの環境を人工的に再現。原料の炭素(黒鉛など)を強制的に結晶化させたもの。
なぜ合成ダイヤモンドと呼ぶの?
巷では「人工ダイヤモンド」や「ラボグロウダイヤモンド(lab-grown diamond)」、英語で「man-made diamond」など様々な呼ばれ方をしますが、日本の宝石業界のルールでは「合成ダイヤモンド(synthetic diamond)」が最も正しい呼び名です。
人工的に作られた宝石のうち、「天然にも存在する石」と全く同じ成分・構造でつくられたものは「合成石」と呼ぶ決まりがあるからですね。
天然よりも優れた驚くべき特性
合成と聞くとニセモノっぽく感じるかもしれませんが、結晶構造や物理的特性は天然のダイヤモンドと完全に同一です。
それどころか、技術の進歩によって、現在の合成ダイヤモンドは以下の点で天然製品を凌駕する特性を持つものすらあります。
- 硬度
- 熱伝導性
- 電気伝導性
- 電子移動度
どうやって作るの?驚きの製造工程
動画を食い入るように見ていた夫が「これ、どういう仕組みで固めてるの?」と聞いてきたので、製造方法についても深掘りしてみました。
現在、合成ダイヤモンドの主流な作り方は2つあります。
- 化学気相蒸着(CVD)法
メタンガスなどの炭素を含むガスを熱フィラメント(2000〜2500℃)やプラズマで分解し、種結晶の基盤に炭素原子を少しずつ積み重ねて(蒸着させて)いく方法です。天然の生成過程とは全く異なるアプローチですね。 - 高温高圧(HPHT)法★遺骨ダイヤはこれ!
遺骨ダイヤモンドで採用されているのは、こちらの「高温高圧法(HPHT)」です。地球の奥深くを再現する高圧プレス機を使い、5GPa(ギガパスカル)以上の超高圧と激しい高温をかけて一気に合成します。プレス機には「ベルトプレス型」「トロイダル型」などがありますが、近年は6方向から均等に油圧をかける「キュービックプレス型」が主流です。消耗部品が少なく、生産効率や精度が最も高いため、遺骨ダイヤモンドのラボでもこのHPHT法が選ばれています。
- カプセルの作製:原料の充填
抽出した炭素原料(黒鉛化されたもの)や溶媒金属を専用のカプセルに詰め込みます。 - 高温高圧プレス:結晶の合成
超大型のプレス機にセットし、地球深部と同じ超高温・超高圧をかけてダイヤモンドを合成します。 - 破砕(はさい):取り出し作業
合成が終わったら、周りのカプセルや合成物を破砕して中のダイヤモンドを取り出します。 - 酸処理:不純物の除去
強力な酸を使い、触媒として使った金属や、ダイヤにならなかった未合成の炭素を溶かして、純粋なダイヤモンドだけを抽出します。 - 中和と洗浄:仕上げ
中和剤と水を使って、残った酸をきれいに洗い流します。
しかし、遺骨ダイヤモンドの場合はここからが特別です。
遺骨ダイヤモンドの場合
工業用のような細かな粒(砥粒)にするのではなく、ジュエリーとして身につけられる大きな一粒(0.1ct〜2.0ct)に育てる必要があります。そのため、ダイヤモンドの種結晶を使い、通常の工業用プロセスの数倍もの時間をかけて、ゆっくりと、大切に単結晶の大きな粒を成長させていくのです。
もちろん、他人のご遺骨と混ざるようなことは絶対にありません。専用のラボでは、受け入れから抽出、合成に至るまで、すべての工程で厳格なトラッキング(追跡管理)システムが導入されており、1件ずつ完全に孤立した状態で処理されています。余ったご遺骨が出ることもなく、お預かりした分はすべてこの美しい結晶のために使われるか、厳重に管理されます。
夫の出した「驚きの結論」
「なるほど。安物を高く売ってるとか、そういう次元じゃなかったわ」
動画をすべて見終え、私の講義(?)を真剣に聞いていた夫は、すっかり感心した様子。腕を組んで、フムフムと頷いています。
「技術的にもめちゃくちゃしっかりしてるし、他人のと混ざらない管理体制なのも分かった。これなら安心だね」
疑念がすっかり晴れたようで、私は心の中で小さくガッツポーズ。
すると、夫が少し照れくさそうに、スマホで遺骨ダイヤモンドの完成見本画像を見せながらこう言いました。
ブルーがいい!
「でさ、もし本当にこれを作るならさ、俺はブルー以外はイヤだぞ!」
「えっ、ブルー?」
「そう、ブルー!
調べたら、ご遺骨に含まれている『ホウ素』の量によって、自然に青く発色することがあるんだって?
なんかそれって、その人の生きた証が色になって現れるみたいで、すごく神秘的でカッコいいじゃん。白っぽいダイヤより、ブルーのほうが絶対いい!」
さっきまで「怪しい!
反対!」と大騒ぎしていた男が、今や「カラーはブルーに限る」と、デザインのこだわりを熱弁しています。完全に半分譲歩、というか、むしろ私よりノリノリになっていました。

コメント
コメントを投稿