戸田火葬場へ行こうとしたら、夫が大騒ぎした制作途中の連絡

ある日の夕方。 寺田家のリビングに、ピンポーンとメールの通知音が響いた。「ん?メール?」 由美がスマホを手に取る。画面を見た瞬間、由美の目が少し丸くなった。「義男さん、さくら。来たわよ」「な、何が?」  

メモリアルダイヤモンドの途中経過の連絡

義男は、飲んでいた麦茶を盛大にむせた。  

「げほっ。げほっ!と、途中経過!?そんなのあるのか!」  

「あるのよ。ほら、写真付きで」  

「しゃ、写真!?ミケの!?ダイヤの!?どっち!?」  

「義男さん、落ち着いて」  

「落ち着けるかぁぁ!」

さくらが冷静に言う。  

「パパ、深呼吸して。ほら、吸って、吐いて」  

「す、吸って。吐いて。よし!」

由美がメールを開くと、  

そこには生成途中の写真が添付されていた。

「わぁ。すごい」  

「これ、ミケ?」  

義男が画面に顔を近づける。

さくらが説明する。  

「パパ、これは結晶化の途中段階だよ。炭素が固まっていくところ」  

「へぇぇ。すごいな!なんか理科の実験みたいだ!」  

「パパ、語彙力」  

「うっ!」

メールには、担当者からのメッセージも添えられていた。

『ミケちゃんの炭素はとても安定しており、美しいブルーの結晶に育っています。ご安心ください。』

義男はその文を読んで、なぜか胸に手を当てた。

「ミケ。順調なんだな。よかった」  

「義男さん、なんか父親参観みたいな顔してるわよ」  

「いや、なんかこう。成長を見守ってる気分で」  

「パパ、ミケは猫だよ」  

「わかってるよ!」

謎の不安

メールを読み終えたあと、義男は急にそわそわし始めた。

「なぁ、由美」  

「なに?」  

「ミケ。ちゃんと青くなるよな?」  

「なるわよ」  

「でも、途中で色が変わったりしないよな?」  

「しないわよ」  

「でももし、透明になったら」  

「義男さん、落ち着いて」  

「落ち着けないんだよぉぉ!」

さくらが冷静に言う。  

「パパ、ブルーは選んだ色だから。途中で勝手に変わらないよ」  

「そ、そうなのか!」  

「パパ、ほんとに心配性だね」  

「うっ!」

「でもね、義男さん」  

由美が少し真面目な声で言った。

「次は研磨工程に入るって書いてあるわ」  

「け、研磨?」  

「そう。結晶を削って、形を整えて、輝きを出すの」  

「ミケが磨かれるのか!」  

「義男さん、表現がちょっと変よ」  

「そ、そうか!」

さくらが補足する。  

「パパ、研磨ってダイヤの最終仕上げだよ。ここで輝きが決まるんだって」  

「おぉ!ミケ。頑張れ!」  

「パパ、応援の仕方がスポーツ選手みたい」  

「うっ!」

完成間近のお知らせ

ある日の午後。  

寺田家のリビングは、いつも通りのんびりした空気に包まれていた。

義男は新聞を読み、由美は洗濯物を畳み、さくらはタブレットでダイヤモンドの研磨動画を見ていた。

そんなとき、

ピコン。

由美のスマホにメールが届いた。

「ん?あら」  

由美の声が少し弾む。

「どうした?」  

義男が新聞から顔を上げる。

「ミケのダイヤモンド、完成間近ですって」

義男は新聞を落とした。  

「え?もう!?そんな心の準備が!」  

「義男さん、心の準備多すぎよ」  

「だってだって!」

さくらが冷静に言う。  

「パパ、完成間近ってことは、もう最終チェックに入ったってことだよ」  

「最終チェック!?」  

義男の背筋がまた伸びた。

由美がメールを開くと、  

そこにはほぼ完成したブルーダイヤの写真が。

「わぁ。綺麗」  

「これ、ミケ?」  

義男が画面に顔を近づける。

さくらが説明する。  

「パパ、これ最終研磨後だよ。もうほとんど完成形」  

「す、すごい!ミケこんなにキラキラに!」

義男は胸を押さえた。  

「なんか泣きそうだ」  

「パパ、まだ完成してないよ」  

「うっ!」

担当者からのメッセージ

メールには、担当者からの丁寧な文章が添えられていた。

「ミケちゃんのブルーダイヤはとても美しく仕上がっております。最終検品後、発送の準備に入らせていただきます。』

義男はその文を読み、なぜか姿勢を正した。

「ミケ。頑張ったんだな」  

「義男さん、ミケは頑張るというより結晶化しただけよ」  

「いやでも。なんかこう成長した気がして」  

「パパ、また父親参観みたいになってる」  

「うっ!」

義男は急にそわそわし始めた。

「なぁ、由美」  

「なに?」  

「ミケ、ちゃんとブルーになってるよな?」  

「なってるわよ」  

「でも写真の光の加減で違って見えたり」  

「義男さん、落ち着いて」  

「落ち着けないんだよぉぉ!」

さくらが冷静に言う。  

「パパ、ブルーは選んだ色だから。  

 途中で勝手に透明になったりしないよ」  

「そ、そうなのか!」  

「パパ、ほんとに心配性だね」  

「うっ!」

「義男さん、さくら」  

由美が少し照れくさそうに言った。

「ミケのダイヤが届いたら。私、ペンダントにして毎日つけようと思うの」

義男は目を丸くした。  

「由美が毎日…」  

「うん。ミケ、ずっとそばにいるみたいでしょ」

さくらも笑った。  

「ママ、似合うと思うよ」  

「ありがとう」

義男は胸がいっぱいになり、  

なぜか鼻をこすった。

「ミケ、よかったな。由美のそばにいられるなんて」

さくらが優しく言う。

「パパ、ミケはずっと家族だよ」

「お、おう!」

もちろんです。  

ここからは、**ついにミケのブルーダイヤが寺田家に届く“クライマックス前編”**を描いていきます。  

ミケのダイヤが届く

その日は、朝から寺田家に妙な緊張感が漂っていた。

由美は朝食を作りながら、何度も時計を見る。  

さくらはタブレットで“宅配便の追跡ページ”を更新し続ける。  

義男はというと玄関の前で正座していた。

「パパ、何してるの」  

さくらが呆れた声で言う。

「いや。ほら。いつ来てもいいように。」  

「パパ、宅配便はチャイムを押すから。正座してても意味ないよ」  

「そ、そうか!」

由美が笑いながら言う。  

「義男さん、落ち着いて。まだ午前中よ」  

「でも。でもミケが来るんだぞ!」

ピンポーン

義男  「き、来たぁぁぁぁ!」  

さくら  「パパ、落ち着いて」  

由美  「義男さん、靴左右逆よ」  

義男は慌てて靴を履き替え、  

玄関へダッシュした。

玄関を開けると、宅配便のお兄さんが丁寧に箱を差し出した。

「寺田様、こちらお届け物になります」  

「は、はいっ!ありがとうございます!大切な大切な!」  

「だ、大切な?」  

お兄さんが少し戸惑う。

由美が後ろからフォローする。  

「すみません、ちょっと感動してるだけなんです」  

「そ、そういうことでしたか!」

義男は箱を両手で抱え、まるで赤ちゃんを抱くようにそっと持ち上げた。

「ミケ。帰ってきたんだな」  

「パパ、まだ開けてないよ」  

「うっ!」

三人はテーブルを囲み、義男が慎重に箱を開ける。

中には、丁寧に梱包された小さなジュエリーケース。  

由美がそっと手を伸ばす。

「開けるわね」

義男は息を止め、  

さくらは目を輝かせた。

ケースがゆっくりと開く。

そこには深い青色に輝く、小さなダイヤモンド。

由美  「綺麗」  

さくら  「ミケだミケの色だ」  

義男  「ミケぇぇぇ!」  

義男は涙をこらえきれず、  鼻をすすりながらダイヤを見つめた。

「ミケ。こんなに綺麗になって。 お前、すごいなぁ」

さくらが優しく言う。  

「パパ、ミケはずっと家族だよ」  

「お、おう!」

由美はダイヤをそっと手に取り、  

光にかざした。

「本当にミケが帰ってきたみたいね」

ペンダントにすると宣言

「義男さん、さくら」  

由美が静かに言う。

「このダイヤ。ペンダントにして、毎日つけるわ」  

「うん、ママに似合うよ」  

さくらが微笑む。

義男は涙目のまま、  

でも誇らしげにうなずいた。

「由美、ミケも喜ぶよ。お前のそばにいられるんだから」

ミケのダイヤと、新しい日常

ミケのブルーダイヤが届いた翌日。

寺田家のリビングは、どこか特別な空気に包まれていた。

由美は、届いたばかりのペンダントトップをそっと手に取り、  

チェーンに通して胸元に下げた。

「どうかしら?」  

由美が照れくさそうに振り向く。

義男は、まるで初めて妻を見たかのように目を丸くした。  

「由美、すごく似合ってる!  なんかミケがそこにいるみたいだ…

さくらも笑顔でうなずく。

「うん、ママにぴったりだよ。ミケ、絶対喜んでる」

由美はペンダントをそっと指で触れた。

「ミケ、今日からまた一緒ね」

「よし、じゃあ記念写真撮ろう!」  

義男がスマホを構える。

「義男さん、指がレンズにかかってるわよ」  

「えっ!?あっ、本当だ!」  

「パパ、逆光だよ」  

「えっ!?どっちが光!?窓!?ライト!?どっち!?」  

「義男さん、落ち着いて」  

「落ち着けないんだよぉぉ!」

結局、まともな写真が撮れるまでに15分かかった。

ようやく撮れた一枚には、由美の胸元で輝くブルーダイヤと、その横で満面の笑みを浮かべる義男とさくら。

ミケの遺影も、いつもの棚の上から優しく見守っているように見えた。

「ミケ、今日も一緒だね」  

さくらがつぶやく。

義男は鼻をこすりながら言った。  

「ミケ…お前、ほんとに綺麗になったなぁ。なんかよりずっと輝いてるよ」  

「義男さん、それは前からよ」  

「うっ!」

その日から、由美は毎朝ペンダントをつけて出かけるようになった。

買い物に行くときも、仕事に行くときも、家でのんびり過ごすときも。

義男はそのたびに言う。  

「由美、今日もミケが見守ってるな」  

「そうね」  

「俺のことも見守ってくれてるかな?」  

「義男さん、ミケは忙しいのよ」  

「うっ…」

さくらは笑いながら言う。  

「パパ、ミケはパパのこと好きだったよ。だから大丈夫」  

「そ、そうか!」

夕方。  

リビングに柔らかい光が差し込む。

由美の胸元で、ミケのブルーダイヤがきらりと光った。

義男はその光を見ながら、ぽつりとつぶやいた。

「ミケ、ありがとうな。 これからも、ずっと一緒だぞ」

さくらも優しく言う。  

「ミケ、また明日ね」

由美は微笑んだ。  

「ミケ、家族はずっと家族よ」

そして寺田家は、ミケとともに、新しい日常を歩き始めた。

完  

このブログの人気の投稿

戸田火葬場へ行こうとしたら夫が大騒ぎした件

ダイヤモンドの会社が多すぎる、と夫が言って立ち止まった日

兄弟みんなで作ろうよ、と夫が言った日のこと