遺骨からダイヤモンドを作るラボでの工程と注文方法

2024年2月15日木曜日

ラボの製造技術

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ダイヤモンドを遺骨からつくる場合、ラボで何が行われているのか調べてみました。各社同じような生成工程ですが、このような疑問にお答えします。

✓ 遺骨100%のダイヤモンドですか?
✓ ダイヤモンドはどうやって発色させていますか?
✓ 合成ダイヤモンドは天然ダイヤモンドよりも劣っている?

ダイヤモンドに必要な遺骨などの成分分析

遺灰・遺骨・遺髪中に十分な炭素が含まれているか分析を行います。 遺骨・遺灰・遺髪に含まれる炭素の含有率は個々で異なっています。炭素がダイヤモンド生成に十分な量のこともあれば、不足している場合もあります。炭素が不足しているときのために、なるべく多めの遺骨や遺髪をご用意頂くと良いです。

ダイヤモンドに不要な不純物の除去


遺骨・遺灰・遺髪は、ミルで粉末化され、特殊なガスで空気から遮断されます。その後、不純物除去剤という薬剤を用いて不要な成分を取り除きます。不純物除去剤に不純物が付着するので、高速遠心機によって不純物の化合物を分離していきます。密閉容器に高電圧をかけ、不純物を蒸発・溶出させる工程もあります。さらに水溶液中で保管して重金属を除去します。これらの工程を繰り返して最終的に、純度の高い炭素を取り出しています。その後、炭素純度を確保するため温度・撹拌・試薬を自動制御して保管しています。

遺骨ダイヤモンドの炭素純度は99.99%

炭素の純度を高める作業には数か月かかっています。集めることのできる炭素はだいたい1g、多くて5gです(カラットでいうと5ctから25ct分の炭素です)。もちろんその方の体(遺骨)からだけ炭素を集めています。集めた炭素は最終的に炭素を不活性ガス(無酸素)中で加熱して不純物(炭素中の酸素を含む)の除去が終了します。ラボでは精度・高品質で安定した仕上がりになるように専用設備を用意しています。

黒鉛結晶の作成

炭素から黒鉛結晶を作成します。水や酸素から遮断した環境で結晶化されていきます。結晶化のスピードは毎時間0.5〜1.0 mg といわれています。結晶化が緩やかであればあるほど、黒鉛中の炭素純度が上がり結晶が安定します。黒鉛の結晶は1mm程度の粒々で出来上がります。

黒鉛の圧縮成形

純度の高い黒鉛(純炭素)をコイン型に押し固められます。コイン型に押し固める理由は次の工程でダイヤモンドアンビルに入れるためです。

ダイヤモンドアンビル(ダイヤモンドのインキュベーター)

コイン型の純粋炭素をダイヤモンドアンビルに入れます。ダイヤモンドアンビルはキュービックプレスとも呼ばれていて6方向から加圧できる装置です(正6面体の各方向から圧力をかけるのでキュービックプレスと呼ばれています)。ダイヤモンドアンビルの中では、高温をかけなくてはなりません。断熱材でくるんで電熱線が仕込まれます。コイン型の純炭素は、高温になって液体化した金属の中で黒鉛結晶から徐々にダイヤモンド結晶へ変化していきます。ダイヤモンドのサイズとカラーに応じて結晶化が完了するまで数日間から数ヶ月かかります(HPHT法)。

ダイヤモンドのカッティング・研磨

ダイヤモンドアンビルから取りだされたダイヤモンドは表面にグラファイトや混合物が付着しています。原石(ラフダイヤモンド)は、合成ダイヤモンドの取りだしを専門に行っているスタッフによって注意深く取りだされ研磨されていきます。このラフ・ダイヤモンド(未研磨のダイヤモンド)をお届けすることもできます。ラフダイヤモンドは天然ダイヤモンドと違って表面近くは粗くなっているため、特殊な研磨の経験がない専門家が研磨すると破損する場合があります。ラフ・ダイヤモンドの研磨やカッティングは経験豊富な専門家にお任せください。

遺骨ダイヤモンドの鑑定書

鑑定鑑別機関でダイヤモンドが真のダイヤモンドであるという認定証明書(鑑別書)を発行してもらうことができます。ラボでは、

  • 真のダイヤモンドである
  • どこのラボで作製されたか(非鉱山採掘)

を認定・証明して出荷されます(お帰り頂いています)。

ダイヤモンドの鑑定はもちろん米国宝石学会(GIA-Gemological Institute of America)に準じた鑑定です。ダイヤモンドのカッティング後にGIAからの第三者鑑別を行います。

とはいっても、鑑定書だけではわからないこともあります。ここから裏側の事情をすこしお伝えします。

遺骨100%のダイヤモンドではないのか?

遺骨から100%生成されたダイヤモンドではありません(残念!)。合成ダイヤモンドを作製するには、結晶形成を促す種結晶(シードクリスタル)が必要なのです。この種結晶の周りに遺骨から集められた炭素が結晶化していきます(雪の結晶を作るときも中心に氷の粒がないと結晶が大きく育ちませんよね!)。シードクリスタルはほんとうに小さな粒のダイヤモンドです。天然ダイヤモンド中のわずか0.1%しか存在しないトップランクの天然ダイヤモンドを使用しています(純度が高くないとダイヤモンドが育たないため)。

メモリアルダイヤモンドのカラー

天然ダイヤモンドの場合は、重金属の

  • 水銀
  • ビスマス
  • 臭化ナトリウム

などを表面処理で用いてカラーを調整する場合があります。メモリアルダイヤモンドは着色処理が不要なので、これらは一切含まれていません。メモリアルダイヤモンドは結晶中に含まれる人体由来の微量物質でカラーが形成されるからです(透明クリアーの場合は不純物を極力取り除くことで作ることができます)。

ダイヤモンドのカラーは、人工的に着色するのではなく、結晶化がされていく環境を調整することによって生成起源で発色します。ダイヤモンドごとに独自のカラーが出現するのはそのためで、どのダイヤモンドも前回と同じように次回もというわけにはいかないのです。たとえば……

ブルーのメモリアルダイヤモンド

炭素を精製しているときに素材の成分分析を何度か行っていました。そのときに炭素に紛れ込んでいるホウ素をなるべく残すようにすると、ブルーのダイヤモンドができあがります。

ダイヤモンドのクラリティ

ダイヤモンド中の微量な不純物はさまざまな色を生じますが、場合によってはダイヤモンドの結晶にクラック(亀裂)を生じさせることもあります。クラックや空洞はダイヤモンドを白く濁らせます。前出のGIA(米国宝石学会)鑑定書でもダイヤモンドのクラリティ評価(目視やルーペによるダイヤモンドの濁りをランク付け)しています。

合成ダイヤモンド?

合成ダイヤモンドの生成技術(特にHPHT法の場合)が進歩している証があります。じつは、天然ダイヤモンドよりも合成ダイヤモンドの方がクラリティが高いのです(合成ダイヤモンドのほうが内部の濁りが少ない)。ダイヤモンド鑑定士も「クラリティが高いので合成ダイヤモンドではないかと思った、それ以外は見分けがつかなかった」と発言するくらいなのです。

人体に含まれる炭素は?

人体には18%の炭素が含まれています(炭素より多いのは水分で70%)。炭素はタンパク質(アミノ酸)・DNAの必須元素です。 

ハート型のメモリアルダイヤモンド

ハート型のダイヤモンドは、大きなダイヤモンドをまず生成して、ハート型に切り出します。価格表にはのっていませんが、特注を受け付けるようになったと聞いています。料金はきっと大きめのダイヤモンドを生成するのでそれなりに高くなると思います。

必要な遺骨や遺髪の量

• 遺灰・遺骨 60g

• 遺髪 2g

です。各社によって違いがあります。必要量は各窓口でお問い合わせください。

ダイヤモンドの注文方法

まず、カタログや資料を請求します。ダイヤモンドやジュエリーの型を決めて見積をもらいます。見積りで納得したら申し込みをします。申し込みは、販売契約書の形式になっていて、何かあったときにどうするかが書いてあります。申込みが完了したら、総額の半額を前金として銀行振り込みします。これで申し込み手続きは完了します。

そのあと遺骨といったんお別れします(郵送か引き取ってもらう)。ここから長い待ち時間になります。この間に、ラボや窓口からダイヤモンドの進行状況を連絡するメールが時々届きます。そして、ラボから日本に帰ってくるメールが届くころに、残金の振り込み案内が届きます。ダイヤモンドが完成した時(発送前)に同じように銀行振り込みします。全額の支払いが終わると、ジュエリーに取り付けられたダイヤモンドが手元に帰ってきます。

遺骨ダイヤモンドの感想


遺骨ダイヤモンドが届いた後、ダイヤモンドの窓口へ感想を送ることができます。各メモリアルダイヤモンドのホームページをみると「お客様のご感想」という欄がありますが、こちらに載せてもらうことができます。良い感想しか載せてもらえないかもしれませんが、思い出を文章にすることで再出発する気持ちが沸き上がってきます。感想を投稿されることもオススメいたします。

まとめ|遺骨からダイヤモンドを作るラボでの工程と注文方法

わたしにとって一番ショッキングだった点は、「遺骨から100%生成されたダイヤモンドではありません」という一文だったのですが、理由を調べてみて納得しました。ラボもなるべく良いものを使うように努力してくださっているようで安心しました。ダイヤモンドの発色にも重金属などを使っているわけではなく遺骨由来の成分をわざと残すことでカラーを作りだしていました。現在は、天然ダイヤモンドよりも合成ダイヤモンドのほうが良質かもしれない一面も理解できました。

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